誰しも作業で手を抜いた経験はあると思います。
手抜き(てぬき)
手を抜くこと。行うべき事を行わないこと。
手抜きは悪いことだと思われています。かといって、全力を出し続けることも疲れます。体力を維持するためにも手抜きは大事でしょう。
でも、人はなぜ手抜きするのでしょうか?手を抜く時の心理とは?
今回は手抜きについて考察していきます。
目次
嫌なことに気力を保てない
誰しもゲームといった楽しいこと、面白いこと、興味を持ったことに苦しむことはありません。むしろ、手を抜かず全力で取り組めるはずです。時間の経過も早いと感じるでしょう。好きなことを続けるのは楽しいですし、疲れを感じにくいのです。
一方、労働といった嫌なこと、つまらないこと、やりたくないことは苦痛を感じるものです。時間の経過も遅いと感じ、早く終わってほしいと願うでしょう。だから、無関心で気力もなくなり、無意識のうちに手を抜きます。
実際、嫌なことをやらされているなんて苦痛でしかありません。苦痛でしかないことを楽しむなんて無理に決まっています。嫌なこと、つまらないこと、やりたくないことを嫌だと言って何が悪いのでしょうか?
それに、体力も精神もかなり消耗します。そんなことに本気になる必要なんてありません。手抜きするのも当然でしょう。苦行に手を抜くのは悪いことではなく自然なことなのです。
スポンサーリンク集団の中では意欲が低下する
もう1種の手抜きとして社会的手抜き(リンゲルマン効果)というのがあります。
社会的手抜き(しゃかいてきてぬき)は、集団で共同作業を行う時に一人当たりの課題遂行量が人数の増加に伴って低下する現象。リンゲルマン効果、フリーライダー(ただ乗り)現象、社会的怠惰とも呼ばれる。
社会的手抜きとは仕事や学校行事など、集団で何かやる際に無意識に手を抜くことです。
その背景として、人数の多さ故に自分の影響力が小さい、または評価されないというのが挙げられます。「自分が手を抜いても問題ない、誰かが何とかするだろう」と思うが故の手抜きなのです。
実際、人数が多ければ何人か手を抜いても問題ありません。一人ひとりの責任も小さいです。
何より、人数の多さ故に誰が手を抜いてるかなんて判別しづらいでしょう。多数の中で自分が評価されるか、または努力に見合う報酬が貰えるとは思えません。意欲が失せます。手抜きするのも当然です。
仕事の場合、人数が多いければ早く終わりますから自分が手を抜いても何とかなります。学校行事の場合、いくら頑張っても基本的には成績に反映されません。それならば、誰だって手を抜いた方が良いと考えるでしょう。
社会的手抜きの一番の改善策は集団のトップがちゃんとした評価制度を設けたり、報酬を上げたりすることです。見合わない評価と報酬では、やる気なんて出る訳がありません。評価制度と報酬の見直しこそ、集団の意欲向上に繋がるのです。
終わりに:手抜きをするのは自然なこと
人の手抜きは悪いことではなく、自然なことです。
誰だって嫌なことに意欲なんてありませんし、集団の中では手を抜いて何とかなると考えます。それに、テキトーでも案外バレないものです。
やりたくないこと、見合わないこと であれば手を抜いた方が自分のためになります。自分の時間はやりたいことに費やしましょう。それが一番の幸せです。
参考:『他人の心理学』(著:渋谷昌三、西東社)