あなたは他者から独立していますか?
独立【どくりつ】
1. 他のものから離れて別になっていること。
2. 他からの束縛や支配を受けないで、自分の意志で行動すること。
出典:デジタル大辞泉
多くの偉人は独立心旺盛であり、人々に独立を促していました。
例えば、福沢諭吉『学問のすすめ』には次のように記されています。
身も独立し、家も独立し、天下国家も独立すべきなり。
人はなぜ独立する必要があるか?独立しないとどうなるか?
福沢は独立の必要性ついて、3つの理由があると言います。
今回は福沢諭吉『学問のすすめ』をもとに、独立について考察していきます。
目次
独立しない人は不親切である
その国人に独立の気力ある者は国を思うこと深切にして、独立の気力なき者は不深切なること推して知るべきなり。
独立しない人は不親切です。他人を束縛し、その人の時間を奪います。時間泥棒です。
続きます。
人々この独立の心なくしてただ他人の力によりすがらんとのみせば、全国の人はみな、よりすがる人のみにてこれを引き受くる者はなかるべし。
独立心のない人は他人の力を頼るだけです。自らは何もしません。そうなれば、何が起ころうと責任を取る人がいなくなります。かなり危ない状況です。
国と国とは同等なれども、国中の人民に独立の気力なきときは一国独立の権義を伸ぶること能わず。
国と国が同等でも国民に独立の気力がなければ、その権利と義務を全うできません。国民一人一人の独立=国の独立なのです。他人への依存が弱みになるのと同じく、他国に依存している国に未来はありません。
スポンサーリンク独立しない人は依存心が強い
独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るる者は必ず人に諛うものなり。常に人を恐れ人に諛う者はしだいにこれに慣れ、その面の皮、鉄のごとくなりて、恥ずべきを恥じず、論ずべきを論ぜず、人をさえ見ればただ腰を屈するのみ。
独立しない人は必ず誰かに依存します。依存心が強いのです。
最初は依存を恐れたり、相手に敬意を払うものの、次第に慣れてきて恥や罪悪感すら感じなくなってしまいます。
万が一、その相手を失ってもまた別の人に頭を下げたり媚びたりし続けるでしょう。
いわゆる「習い、性となる」とはこのことにて、慣れたることは容易に改め難きものなり。
何より、慣れたことを改めるのは容易ではありません。それがもう当たり前になっているからです。依存を止めるのは難しいことなのです。
立てと言えば立ち、舞えと言えば舞い、その柔順なること家に飼いたる瘦せ犬のごとし。実に無気無力の鉄面皮と言うべし。
しかし、依存は他者への従属です。自分の意志に関係なく、相手に従わなければなりません。上記の例のように、相手の飼い犬になるのと同じです。(個人的には“奴隷“の方がしっくりきますが…)
「何事も一人でやれ」という訳ではありません。相手に頼ることが必要になる時もあります。でも、強い意志を持って相手と対等でいることが大切です。相手への従属では自由になれません。
独立しない人は悪事を働く
独立の気力なき者は人に依頼して悪事をなすことあり。
きたなくも他人の名目を借り他人の暴威によりて返金を促すとは卑怯なる挙動ならずや。
独立しない人は悪事を働きます。例えば、他人の名でお金を借りたり、権威を利用して他人を脅したりします。
他人の力ありきなのが問題です。権威のためには自分を売ることさえします。他人を不当に利用する卑怯者でしかありません。
でも、所詮は他人の力です。時代の変化によって、それがいつ落ちぶれるか分かりません。いずれ自滅します。それに、他人を陥れても幸せにはなれません。自分の力を養うことこそ、自分のためです。
まとめ:独立しない人に自由はない
独立とは自分にて自分の身を支配し他によりすがる心なきを言う。みずから物事の理非を弁別して処置を誤ることなき者は、他人の智恵によらざる独立なり。みずから心身を労して私立の活計をなす者は、他人の財によらざる独立なり。
独立は自分で自分を支配することです。自分を売ったりしません。他の誰にも支配されず自己を確立しています。自信もたっぷりで多くの人から信頼されるでしょう。
これこそ自由です。依存している人に自由はありません。だからこそ、歴史に名のある偉人は独立した生き方を推奨するのでしょう。
『学問のすすめ』にもあるように、人々の独立=国の独立であり自由なのです。
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